ガラリ。静まり返っていた教室のドアを前触れなく開けて入ってきたのは、クラスメイトの佐藤亜由実だ。
「あ、お待たせ、小林くん。何か用かな？ごめんね、さっきまで部活だったから」
部活帰りにわざわざ立ち寄ってくれたのだろう、佐藤さんは汗ばんだ制服を気にしている風にしながらも、小走りに僕の席の前までやってきた。日が暮れかけた二人きりの教室は、慣れない空気が漂っている。
「ああ、佐藤さん。こちらこそごめんね、こんな時間に」
どの部活も終わり、校内には殆ど誰もいないだろう時間を狙って彼女を呼び出した。特別仲が良い訳でもない僕に呼び出されても、応じてくれる彼女の素直さに感心した。しかし、これから彼女に降りかかる災難のことを考えれば、僕に純粋な目を向けてくれている警戒心のない彼女を憐れむ他ない。そう、彼女が第一号なのだ。この壮大な計画の。
「佐藤さんに少し手伝ってほしいことがあって。それで来てもらったんだけど」
できるだけ平静を装いつつ、彼女の緊張を解していく。実験は彼女が教室に入ってきたときから既に始まっているのだ。他人の思考や視線を誘導して暗示をかける、それは簡単なようで難しい。何度も何度も練習したことだ。気を抜いたり焦ったりすれば、計画は丸つぶれになる。僕が彼女にかけようとしている催眠は、普段は仕舞い込んでいるはずのメスの本能を、彼女の奥底から探りだし、表面化させるというものだった。
「お手伝い？別に構わないけど…」
佐藤さんは疑いもせず、その大きな瞳を瞬きさせて僕の目の前の椅子に腰かけた。佐藤さんはクラスの中でも中心にいる明るい子で、本を読んでばかりの目立たない僕とも気兼ねなく話してくれる。部活はテニス部で、副キャプテンをやっているらしい。容姿はそこそこに評判で、その分け隔てない性格からもよくモテるという。
「本当？ありがとう、助かるよ」
催眠自体は、野良猫やうちの姉で軽く試したことはあるが、全くの他人を催眠にかけるのはこれが初めてだ。警戒心の薄そうな佐藤さんを選んだが、その人選は間違っていなかったようだ。
「さぁ、僕の言うことを聞くんだよ、できるかな…？」
目を逸らさず、ゆっくり暗示をかける。スゥ、と佐藤さんの薄桃色の瞳から虹彩が消えるまでに時間はかからなかった。
「……はい…」
先ほどまでの明るい佐藤さんはどこにもいない。虚ろな瞳をした人形のような女の子が目の前にいるだけになった。
「佐藤さん…？」
本当に催眠にかかったのだろうか。近づいて軽く肩に触れてみても反応はない。成功だ。彼女が僕のされるがままになってしまう合図だった。
「じゃあ、まず立って、ブレザー脱いで」
初めから難しいことを要求したって仕方がない。簡単なことから命令していって、徐々に感覚を麻痺させていくのだ。
「はい…」
佐藤さんは相変わらずのぼんやりとした返答をして、従順に、そしてゆっくりとブレザーを脱いでいく。その手つきは酷くまどろっこしくて手を貸してしまいそうになるが、彼女の邪魔になるようなことをしては、催眠に支障きたしてしまうかもしれない。僕は黙ってみていることにした。こちらが命令している立場のはずなのに、なんだか焦らされているような気がしてしまう。
「でき…ました…」
数分をかけて白いポロシャツ姿になった彼女は少し汗の臭いがする。女子高生特有の制汗剤と健康的な汗の混ざった甘酸っぱい香り。クラクラするような感覚。僕は堪らず、すぐさま次を彼女に急いた。
「…できました」
「あぁ、いいね」
僕は彼女のその背徳的な格好に息をのんだ。肩が丸出しになって半分脱げかかったようなポロシャツと、ズラされた白いブラジャー。何の抵抗もなく、その厭らしい姿を曝け出している彼女に熱い興奮を覚えた。
胸は大ぶりとは言えないが片手で揉みしだけば溢れるくらいの良い大きさだ。その先で存在を主張するピンクの突起は、外気に触れてぷっくりと勃起している。こんなに近くで凝視してみても、催眠に堕ちた彼女がその卑猥な視線を嫌がることは無い。
「じゃあ次は…。スカートの中、見せて欲しいな」
僕がそう言えば、彼女は頷いて、やはり無抵抗にスカートの裾を摘んでゆっくりと持ち上げた。スス、と布擦れの音がして、細くしなやかな太腿が徐々に露わになっていく。
「はぁ…っ、はぁっ…」
女子高生の下着なんて、生まれてこの方拝んだことはなかった。僕は先ほどとはまた違った背徳の昂りを感じて、息を荒げていた。彼女の聖域を守っていたスカートの影が段々と消え、真っ白な下着がチラリと顔を覗かせた。
小さなリボンのついた、清潔そうな下着だった。彼女は朝からこれを履いて過ごしていたのだ。授業も、部活も、彼女の聖域にこの布はみっちりと張り付いていたのだ。
「あぁ…、佐藤さん…、すごいよ…」
このような状況下でも、佐藤さんは変わらず人形のようだった。僕だけが興奮しているというこの状況が堪らなく異質で、そして優越だった。僕はスマホを取り出して、カメラを彼女に向けた。パシャリ、パシャリ。何枚とっても足りない。こんなにも興奮するシチュエーションがあるだろうか。僕のズボンの中はギチギチに勃起していた。
胸やパンツをアップにしてみれば、彼女の身体の厭らしさがよくわかる。ぷるんとハリのある弾力のありそうな胸。下はスジがくっきりと浮き上がっている。一見優等生で清純そうな彼女の淫猥な肢体を収めていく。しばらくはオカズには困らないだろう。この先はゆっくりやっていけばいいのだ。
「続きは、また今度しようね」
「…はい…」
彼女はやはりぼんやりとそう答えた。
