「…ねぇ、酒井くん。さっさと課題、出してくれない?」
昼休み。特にすることも無く、ぼうっと外を眺めていたところに、話しかけてきた女がいた。僕みたいな地味な男が、女に話しかけられるなんて滅多にない事だ。突然のイベントに驚いて顔を上げると、そこには僕の机に手をついてこちらを見下ろす委員長の姿があった。
「…ああ、委員長か…。何の用?」
期待した僕が馬鹿だった。女とは言え、委員長だとは思わなかった。とんだハズレ女に話しかけられたものだ。それにしても、僕に委員長が何の用だろうか。彼女のことをハズレとなどと言ってはみたが、彼女の方にしてみても、僕なんかに何の用もなく話しかけるなんて願い下げだろう。僕は思わず聞き返した。窓から差し込む昼過ぎの暖かな日差しが僕を微睡みに誘っていたせいで、彼女が言っていたことがまるで聞き取れていなかったのだ。
「…だから、そうやってぼーっとしてる時間があるなら課題を出してって言ってるんだけど」
委員長は僕の返した言葉が気に食わなかったのか、声のトーンをひとつ下げて凄んだ。机に置いていた手を離して腰に当て、こちらをぎろりと睨みつけてくる。
「あぁ…」
言われてみれば確かに、数学の課題を出し忘れていたような気がする。今日が提出日だったのをすっかり忘れていた。忘れていた僕ももちろん悪いのだけど、それにしても委員長の方ももっと他に言い方があるだろうに。委員長のあまりに高圧的な物言いに、僕は少しムッとしていた。例えば、この僕がクラスいちの人気者の朝倉だったとしたら、少しは委員長の言い方も違ったのだろうか。そんなことを考えていたら、更に苛立ってきた。
「…っ」
「…酒井くん、何か言いたいことでも?まだやっていないなら早く提出してくださいね」
またしても強い口調。その言い方といい、こちらが黙っているのをいいことに、次々に浴びせられる嘲りの言葉たち。こみ上げてくる苛立ちを抑えきれなかった僕はその場でポケットの中にあった時計を掴み取り、その突起を押し込んだ。
カチリ。いつもの金属音。もうこの音は何回聞いただろう。教室中に響き渡るほどの大きな音だ。そして次の瞬間には、昼休みの学校は静けさに包まれた。
「くそ…。生意気な委員長の身体、ちょっと借りるからな」
時間が停止したことを確かめてから、僕は座っていた椅子から荒々しく立ち上がった。僕の机の前で不快そうな表情のまま固まっている委員長をじっくりと観察してやる。委員長、鈴木涼子は化粧っ気もなく、黒縁の眼鏡をかけ、黒髪をおさげにした、少し芋くさい見た目をしている女だ。
「へぇ、こんな顔してたんだな」
涼子をじっくり見つめる機会なんて今までなかった。細い目をしているので一重かと思っていたが、どうやら奥二重だったらしい。そして、意外と睫毛が長い。肌は綺麗で、ニキビなんてひとつもない。
涼子の顔を眺めているうちに、先ほどまで感じていたはずの苛立ちはどこかへ吹き飛んでいた。今からこの煩かった女を好きにできるのだ、そう思うと胸が熱くなる。
手始めに彼女の後ろに立ち、その身体に手を回して抱きついてみた。身長差があるせいで、ちょうど委員長の後頭部の辺りが僕の鼻に触れ、シャンプーの匂いがふわりと漂ってくる。
「へぇ…」
涼子の顔は地味な方だと言ったが、性格の方も真面目な堅物で、彼女のことを女として意識している男はそう多くないだろう。涼子自身も女らしさを感じさせるような言動をすることはほとんどない。だからこそ、そんな女から上品な花の香りがするなんて思ってもみなかったのだ。正直、僕も委員長のことを性的対象として見たことは一度もなかったというのに、涼子の女らしい部分に意図せず触れてしまい、僕はうろたえていた。
「…ま、まあ、どうせ下着はベージュの無地とかだろ?」
誰が聞いているわけでもないのに何となく強がりを言ってしまうほどには、あの堅物委員長に一瞬でも欲情させられてしまったことが悔しかった。
「ほら、お前の下着、見てやるからな…っ!」
涼子の胸の下の辺りを抱きしめていた左手を動かして制服の上から彼女の胸を鷲掴みにし、揉みしだいてやる。残った右手で涼子のスカートを持ち上げ、中身を覗いてやることにした。しかし、流石委員長。スカートの丈は校則通りに膝下だ。こちらが少し膝を曲げないと、スカートの裾を掴むことすらできない。
「これだけ長いスカートを穿いてて中身が可愛い下着なわけ…、って、おいおい…」
ようやくスカートの裾を掴むことができ、そのまま持ち上げた。すると、その中から現れたのは淡い青色の下着だった。レースやリボンがあしらわれた可愛らしいデザインで、ところどころ透けているのも大人っぽい。
「まじか…。意外と可愛いの穿いてるじゃねぇか…」
どうやら、涼子の女らしい部分は匂いだけではなかったらしい。次々と委員長の女らしい部分を見せつけられて、僕はすっかり呆気に取られてしまう。それと同時に、情けなくも僕の体は昂り、下半身は熱く反応し始めていた。
「くぅぅ…っ、こんな女相手に…」
勃起してしまったせいでズボンの中が苦しい。僕のペニスはそれほどに硬く大きくなっていた。悔しいのに涼子の身につけている可愛らしい下着から目を逸らせない。その下着を見つめれば見つめるほどに、ペニスの硬さは増していく一方だった。
「うぐぅ…っ、こうなったら…」
僕としたことが、あの芋くさい委員長相手に不覚にも興奮してしまったという悔しさに、つい感情のやり場を見失いそうになっていた。でも、この欲望を我慢してやる必要はないのだ。思う存分この肉欲を涼子にぶつけてやればいい。こんなこと、少し冷静になってみればわかることだった。時間を止めている間は、誰も僕のことを見ていない。そうだ。委員長の匂いと下着に興奮して、鼻息を荒くしてしまっている情けない僕の姿なんて誰も見ていないのだ。
それならば、何をしたっていい。どんなに惨めな姿を晒したっていいんだ。胸のつかえが取れた僕は涼子のその可愛らしい下着に手を突っ込み、彼女の陰部に指を滑らせた。指先に絡まる毛はない。またもや意外なことに、涼子の陰毛は綺麗に手入れされていた。てっきり剛毛な縮れ毛がびっしりと生えっぱなしになっているのかと思い込んでいた。
「ホンット、お前、女っぽい身体してるんだな…」
指先に触れるのは柔らかな陰唇。指の腹でぷにぷにと押し潰すと心地いい。2本の指を使って、陰唇を拡げたり閉じたり。空いた指で陰核を優しく撫でてみたり。
これは最近わかったことなのだが、時間を止めていても生理的な変化は起こるらしい。快楽を感じれば乳首が勃起したり、愛液が分泌されたりすることは珍しくない。以前、中川さんの身体に触れながら自慰をしてから、今まで何度もたくさんの女たちに同じようなことをしてきた。あれからバレない程度ならセックスだってしてきた。どの女も僕の手によってその乳首を勃起させ、陰部を濡らした。普段は相手にもしない男に触られているのに。
涼子も同じだった。僕に触れられながら、じっとりとその陰部を愛液で濡らしている。身体はぴたりと固まらせたまま、柔らかな陰唇を愛液でヌルヌルにさせている姿が何とも卑猥だ。
「はぁ…っ、もう入れてやるからな…っ!」
こちらはもう限界だ。手早く涼子の下着をずらし、その陰部を外気に晒してやった。涼子の腰を掴み、取り出したペニスの先端を彼女の陰部に擦りつける。
「うぅ…っ、入ってく…ッ!おぉ…っ」
腰をぐいと進めれば、膣内へと硬い先端がずぶずぶと侵入していく。かなり狭いが、濡れているおかげで痛いほどではない。そのまま全てが収まるまで押し込んでやった。
「お…っ、おおぉ…っ!すげ…っ、委員長のマンコやべぇ…っ!」
気持ちいい。気持ちよすぎる。堅物委員長のくせに。普段のお前は芋っぽくて、性的なことなんて嫌っていそうな見た目をしているくせに。すっかり熱くなった涼子の膣は僕の陰茎を受け入れながらうねっている。頭の中は沸騰したかのように熱く興奮し、この女の膣内に出したいと動物的本能が疼いて仕方がない。
「涼子っ、涼子…っ!こいつっ、さっきは生意気なこと言いやがってっ!このマンコにたっぷりわからせてやるからな…っ!」
パンパンッ!先ほどの僕への嘲りをふと思い出して、苛立ちが再び湧き上がる。腰を掴む手に力が籠り、欲望と感情のままに陰茎を膣の奥へピストンで打ち付ける。こんな女に加減してやる必要なんてない。
「オスには逆らえないってっ!オスのちんぽには勝てないってっ!おらっ!敗北しろ…っ!僕に屈服しろ…っ!」
パンパンパンッ!この生意気な女を征服したい。そんな欲望がムクムクと呼び起こされる。理性や恥辱は既にどこかへと消え去り、腰の動きが一気に速くなる。少しわからせてやるつもりで時間を止めたのに、いつの間にかこちらの方が夢中になってしまっていた。
「くうぅ…っ、出すからな…っ!ナカに出してやるからなぁ…っ!」
パンパンッ!重く激しいピストンを繰り返しているうちに腰が痺れ、ペニスも大きく張り詰めていた。すぐ側に迫った射精の予感に脳が震える。相手のことなんて考えない。考える必要なんてない。性欲に従って犯せばいい。涼子の腰に手形がつくほど強く掴み、最奥を抉るように強く突き上げる。
「おぉ…っ!ほぉぉ…っ!イく…っ!イくうぅ…ッ!」
静かな教室には、僕の雄たけびと接合の水音だけが響いている。他の音は何もない。僕に犯されている涼子が荒い息を吐くことも、喘ぎ声をあげることもない。それでも、いや、それだからこそ興奮する。ラストスパートをかけて、最速のピストン運動。
「出る…ッ、くぅぅ…ッ!おぉッ、おッ!」
びゅっ、びゅるるるぅッ!最奥に打ち付けた瞬間、カッと陰茎が燃えるように熱くなり、そして精液が勢いよく噴き出した。どろりと濃厚な精液が涼子の膣内へ次々と飛び散っていく。
「うぅ…っ!うお…っ!」
びゅっ、びゅっ!中出しだ。委員長に中出ししていた。それも教室で。時間が止まっているとは言え、クラスメイトに囲まれながらの性行為。明らかな禁忌。こんなシチュエーション、背徳を感じないわけがない。
「はぁ…っ、ふぅ…」
睾丸が空っぽになるまでの1分近くの間、ずっと僕は絶頂していた。ぬるりと抜き出した陰茎は愛液と精液に塗れ、小さく萎んでいた。膣の方からもかなりの量を射精したせいか、どろりと白濁の粘液が零れ、太腿の辺りまで伝っている。外へ零れたものだけを拭き取り、膣内へ出したものはそのままにし、元通りに下着を穿かせ、制服の方も整えてやった。
「…これでよし」
それにしても、あの委員長にここまで夢中にさせられるとは思いもしなかった。快楽の余韻に浸りながら、もう一度涼子の姿を眺めてみる。せっかくだし、時間を止めている今のうちに課題も片付けておくか。
「委員長。ほら」
カチリ。椅子に座り直し、時計の突起を押し込む。時間が動き出したのを確認し、終わらせた課題のノートを涼子の方へと差し出した。
「へ…?」
僕の行動に面食らったのか、涼子の眉間の皺が解ける。かと思えば、太腿をもじもじとさせながら、股間の方を気にし始めた。それもそうだ。涼子の膣の中には僕の精液がたっぷりと入っているのだから。
「だから、課題だよ。出すの忘れててすまん」
「え…。あ…、うん。やってるならいいのよ。こっちこそやってないって決めつけて悪かったわね」
涼子は心ここにあらずといった感じで、僕のノートを受け取り、元いた教卓の方へ戻っていった。何かを焦ったようだったのは勘違いではないだろう。彼女にしてみれば、課題の提出を急かしにきただけのつもりが、どうしてか突然、下半身が重くなっているのだから。
小走りで教卓の方へ向かっていくその後ろ姿は、煽情的な女そのものだ。少なくとも、僕の目にはそう映っていた。僕は既に彼女のことを異性として認識し始めたらしい。