【小説】時間停止の世界3話〜時間停止で更衣室に侵入1〜

時間停止の世界

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「よぉーし!今日は終わり!解散だぞ!」

体育教師の無駄に大きな声。授業の終わりを告げるその挨拶が校庭中に響いたのを合図に、周りの男子生徒たちは嬉々として校舎へと走り出す。あぁ、うるさい。耳が痛い。昔からこういう熱血教師も、小さなことで煩く騒ぎ立てる男どもも苦手だ。

「はぁ…。やっぱ体育は疲れるな」

校舎へと吸い込まれていくクラスメイトたちの後に続いて広いグラウンドを進み、更衣室へ向かいながら、ふぅーっと長い息を吐く。圧倒的インドア派の僕は運動自体それほど得意ではない。それに、授業ともなると、友人のいない僕には辛い場面も多い。友達とペアになれだとか、チームを組めだとか、無理難題を軽々しく体育教師が押し付けてくるからだ。こんなこと、簡単に言わないで欲しいものだ。余りもの扱いされるぼっちの気持ちなど、あの体育教師は考えたこともないであろう。

「くそっ、嫌になるな」

当然、他のクラスメイトたちが今まさにそうしているように、僕には共に教室へ戻るような友人がいない。どれもこれも、この高校に入学してから社交的に振舞ってこなかった僕が全面的に悪いのだが。わかってはいても、どうしても他人のせいにしたくなるのが人間だろう。しかし、今の僕にはグラウンドの砂を蹴りつけて苛立ちを誤魔化すことしかできない。

「うぐ、足痛え…」

強く蹴りすぎたか、つま先にじぃんとした痺れが訪れる。今日も普段は動かさない筋肉を嫌になるほど使わされたせいもあるだろう。体中が痛くなっていた。そもそも、授業に全力で取り組むほど真面目な人間でもないし、そこそこ手を抜きつつやっているつもりだったのだが、運動不足の体には1時間の運動はこたえたようだ。くそ。さっきは他人のせいにしたくせに、今度は情けない自分にも腹が立ってきた。

「そうだ!さっさと着替えてストレスの発散でもさせてもらうか」

体操着のズボンに手を突っ込み、中の感触を確かめる。金属製のひんやりとした素材が手に触れ、火照った手のひらの熱を奪い、冷ましていくのが心地よい。

僕は、体育の授業中もこれを肌身離さず持ち歩いている。男子の更衣室に忍び込むなんてやつはいないだろうし、僕なんかの着替えをあさる物好きなどいるわけはないがしかし、誰かにこれが見られたり、奪われたりでもしたら、おしまいだ。そんな失態、犯すわけにはいかない。僕は用心深いのだ。

そうだ。これさえあれば、僕はなんだってできるのだ。あの体育教師やクラスメイト、いや、全校生徒を手玉に取ることだってそう難しいことではないだろう。運動や勉強ができるように見せかけることだってできる。僕への数々の非礼を詫び、その身を差し出す女だっていてもおかしくないはずだ。

無意識にニヤニヤと笑みが浮かんでくる。僕はポケットの中のものを手のひらの中で転がしながら早足で更衣室へと向かった。

「さっさと着替えるか」

更衣室へと辿り着き、時計を確認する。まずい、少し急がなければいけない。僕は、腹いせに隣の女子更衣室へ忍び込むつもりだった。クラスメイトの女たちが着替える姿。想像しただけで興奮して息が荒くなる。

僕達、男子の授業が終わった時にちらと見た感じでは、女子の方はまだ授業が終わっていないらしかったが、もし僕がのんびりと着替えをしてしまえば、女子たちも着替え終えてしまうかもしれない。そうなれば、絶好の機会を逃してしまうことになる。

「…ねぇねぇ、聞いてよ!」

手早く着替えよう。そうして自らの体操着に手をかけた瞬間、ドアの向こう、廊下の方から大きな声が響いてくる。あの声はクラスメイトの中川さんだ。女の方も授業が終わったらしい。しまった。僕も早く着替えなければ。

「こうなったらこの時計を使って…」

体操着のズボンの中、時計に手を触れて押し込んだ。カチリ。金属音。いつものように、時間が止まっていた。ぴたりと声が止み、同じ更衣室で着替えている男たちも動きを止めている。

「…はぁ〜、着替え終わった」

静かな世界の中で1人、僕は黙々と着替えた。さあ、早速突撃だ。お前ら、哀れな男どもはここでのんびり着替えていろ。この時計を手にしてからは、僕はお前らとは違う、圧倒的な勝ち組にいるのだ。ふっと嘲笑を浮かべ、男どもを哀れんだ。

さて、このまま女子更衣室に行ってもいいのだが、時間を止めた状態で女子更衣室へ移動すれば、ここにいたはずの僕が突然消えたように見えてしまう。一旦時間を元通りに動かしてから、更衣室を出ることにしよう。再び、時計のボタンを押し込んだ。

「んお?酒井、着替えるの早くね?」

そそくさと更衣室を出る直前、からかうように背中越しにクラスメイトに声をかけられる。おっと、危ない。もう少し着替えるのに時間をかけた方が良かったか。やはり、調子に乗るのは良くないな。僕は何も聞こえていないフリをし、クラスメイトの揶揄を無視して更衣室を出た。

「はっ、お前らはそこで隣の女子更衣室の中でも妄想してろ!」

カチリ。人目につかない場所に身を潜めてから、再び時間を止める。誰かに見られている状態から移動してしまうと、これまた僕が消えたように見えて怪しまれるからだ。僕は用心深い。そして、用心深くいることに越したことはない。

女子更衣室の前。男が決して開けることの許されない扉。僕の立つ廊下には数人の生徒が行き交っているが、時間を止めているおかげで誰も女子更衣室へ侵入を試みている変態のことなんて見ていない。

ふぅーっと息を吐いて、ドアノブに手をかける。興奮で胸は高鳴り、そしてドアノブを掴んだ手も震えている。

「さぁて、女子ども。邪魔するぞぉ〜」

ギイッ。ドアノブを回し、女子更衣室の扉を開けた。

瞬間、こちらへ溢れ出す雌たちの空気。覗き防止のために窓すらも締め切っているらしく、今日1日籠りきりだった雌たちの体臭や香りが一気に僕の鼻腔に流れ込んでくる。

「うっ!すげぇ匂いだ…!」

汗の匂い。シャンプーや柔軟剤、制汗剤の香り。それぞれの女が持ついくつもの匂いが更に混ざり合って、特有の雌の香りを作り出している。そんな異質な香りが、男の侵入を拒むように狭苦しい女子更衣室に漂っていた。

お前のような地味で目立たない男が入って許される場所ではない。そう告げられているような気がして、一瞬、身を引きそうになる。

「生意気な女たちめ!入らせてもらうぞ!」

いや、僕はストレス解消に来たのだ。こんなことで引き下がるわけが無い。まずは1歩、更衣室へ足を踏み入れる。中を覗き見ると、女たちはまだ着替え始めて間もない頃だった。体操着を着ているままの女も多い。クラスメイトに怪しまれてしまったが、時間を止めてまで着替えたかいがあった。

「ひひひっ!」

この空間には女しか入れない。最高に甘美な空気。そんな貴重なものを少しでも逃がすわけには行かない。僕は更衣室の中へと素早く身を滑らせて、入口の扉を閉めた。

「すぅぅ〜…、うおぉ…っ!」

まずは、更衣室の真ん中辺りまで進んでいき、深呼吸。もちろん、吸うのは鼻からだ。直接、じっくりとその匂いを鼻腔へと取り込む。瞬間、熱く濃密な香りがねっとりと鼻腔を襲い、思わず噎せ返る。

「…ふぅ…、次は直接嗅がせてもらおうかな」

狭い更衣室には20人近くのクラスメイトの女たちがひしめき合っている。時間停止の中、誰もがその動きをぴたりと止めている。今、この世界で動くことを許されているのは、この時計を持つ僕だけだ。まだ体操着の女。ズボンや上着に手をかけている女。髪をくくり直している女。様々だ。

時間を止めているので、急ぐ必要はない。まずは適当に近くに立っている女から楽しませてもらおう。彼女はクラスメイトの荒木奈那だ。黒髪を緩く巻いた今どきの女だ。胸もそこそこあるし、顔はやや薄めの印象があるが、美人な方だ。少なくとも、僕のような男には釣り合わないだろう女。僕はそんな荒木さんへと正面から抱きつき、その胸元に鼻をつけて、息を吸い込む。

「おっ…ほぉっ!」

息を吸い込んだ途端、濃密で、熱い香りが鼻の奥へと刺さるように襲い来る。その匂いの鋭さに思わず零れた汚い雄叫びは、荒木さんの体操着へと吸い込まれてくぐもった声となり、静かな更衣室へ響く。

「これやべぇ…っ!すぅぅ~っ!すぅぅ~っ!」

体育の授業の直後だからだろう、汗の匂いが強烈すぎる。こんな暴力的な臭さ、女が纏っていいものじゃない。すぐにでもこの女の身体から顔を離して鼻を摘まみたくなるほどの凄まじい臭さに頭が真っ白になり、クラクラする。それほどの匂いだというのに、僕は彼女から顔を離すことができなかった。寧ろ、先ほどまでより強く鼻を押し付けて、匂いを懸命に嗅ぎ続けてしまっていた。

「これちんぽに効く…っ!すぅぅ~っ!」

体育の授業中、たっぷり1時間をかけて分泌した汗。その汗が彼女の身体から蒸発しようとして、その匂いだけを身体に残して染みついているらしかった。特に、僕が嗅いでいるこの部分は、蒸れやすい谷間だ。湿気た匂いが僕の情欲を強く刺激する。

「奈那…っ、奈那の谷間くっせぇ…っ!」

ふわふわとした柔らかな見た目をしているくせに、荒木さんがこれほど馨しい香りを纏っているなんて思いもしなかった。臭い、と口に出してみるだけで、彼女の卑猥さを再確認させられるようで、一層興奮してしまう。

「他の女は…っ、どうだ…っ!…そうだ、中川美桜だっ、美桜っ、美桜っ!」

クラスの中心的人物、中川美桜。運動神経も良く、美人な女。そして、僕のことを見下す性悪。あいつは運動が好きらしいし、先ほどの授業では相当汗をかいていることだろう。折角の機会だ。是非とも、あいつの匂いも嗅いでやりたい。

「お、いた。美桜…っ!」

ひと際目立つその美人は、小汚い更衣室の中でも眩しく映り、すぐに見つかった。更衣室の端で、体操着のまま友人と話している格好で固まっている。

「んっ、ぢゅるるッ!…ふごごっ、ふごっ、すぅぅ~ッ!」

僕は興奮で鼻息を荒くしたままに彼女の元へと駆け寄り、その身体に後ろから抱き着く。そして、華奢な肩に堪らずしゃぶりつき、そして首筋に鼻先を押し付けて嗅いだ。

しかし、匂いを嗅ぐより先にしゃぶりついてしまったせいで鼻が詰まり、豚のような鳴き声が零れてしまう。こんな声、この女に聞かれていたらあのゴミを見るような視線で僕のことを睨むのだろう。

「僕なんかに好きにされちゃってさぁ、ふひひっ」

心底嫌っているはずの僕に身体を明け渡している間抜けな中川さん。首筋から漂う香りは、馨しく、そして甘い。この間、登校時間に時間を止めた時と同じ匂いだ。いや、それよりも濃厚だ。甘い柔軟剤に混じる汗の香り。

「今度はここの匂いを嗅いじゃうからねぇ~っ!すぅぅ~っ!」

中川さんの体操着、清潔感のある白い布地の中に顔ごと突っ込んで、胸の谷間に顔を埋めて匂いを嗅ぐ。ひと筋の汗が伝う蒸れた谷間に鼻をつけて息を吸い込む。荒木さんの谷間の匂いも嗅いだが、直接肌に触れているせいか、こちらの方が鼻腔へ送り込まれてくる空気は熱い。こんな匂いを嗅いでいたら、おかしくなってしまいそうだ。ペニスには未だ一切触れていないのに、いつの間にかイってしまいそうなほどに硬く勃起していた。

「よし、次は…」

20人もの女がいるのだ。決まった女に執着しているのでは勿体ない。できるだけ多くの女の匂いを味わわせてもらおう。

「おほぉ~っ!」

適当な女たちの脚元にしゃがみ込み、体操着の上から彼女らの股間に鼻を当てて、その匂いを嗅ぐ。続いて、ズボンをずらして下着の上から。遂には、下着を下ろして直接陰部の匂いも嗅ぐのも変態的で堪らない。陰部から漏れ出す香りは、胸の谷間や首筋から漂う香りなんかとはまるで違う。アンモニアと汗の匂いが混じった厭らしい匂いだ。

谷間、脇、うなじ、臍、陰部…。僕はクラスメイトの女たちの様々な場所を嗅いでまわった。全員分の匂いを嗅いだのではないかという頃、僕はそれだけでは物足りなくなってしまっていた。

「すぅ~っ、すぅぅ~っ!」

ふと気が付けば僕は、女の尻に顔を埋め、アナルの匂いを嗅いでいた。下着を下ろし、現れた尻肉の更に奥に隠された小さな穴。そこに無理やり鼻を食い込ませて、一気に匂いを吸い尽くす背徳感。背中が痺れるほどの快感だった。

「まだまだ嗅がせてもらうからな」

時間はたっぷりある。クラスメイトたちの匂いを余すことなく味わわせてもらうとしよう。

★『OVA イジラレ ~復讐催○~』